こんにちは。

NHKで毎週日曜日にやっているアメリカのドラマ「THIS IS US」、ご覧になっていますか?

この記事の目次

ドラマ「THIS IS US」の設定

私は海外ドラマが大好きなので、いろいろなものを見ていますが、この「THIS IS US」はアメリカのドラマにしては珍しく、とっても落ち着いたヒューマンドラマだな、という印象です。

アクションもバイオレスも、派手な演出も非現実的な設定も、なにもありません。
ある家族5人の物語で、登場人物たちそれぞれを丁寧に描いています。

ストーリーは、ある白人夫婦に子供が誕生するところから始まります。
子供はなんと、三つ子なんですね。

最初は男の子、次は女の子、と順調に出産していたのですが、3人目の男の子が死産となってしまいます。

落ち込む夫婦だったのですが、ある消防署の前に置き去りにされていた黒人の乳児が、同じ日に新生児室に連れてこられたことに運命を感じて、その乳児を養子として引き取り、三つ子として育てていくのです。

この設定は、リベラルなアメリカならでは、って感じですね。
肌の色の違う赤ちゃんを養子として引き取って、自分の子供と一緒に三つ子として育てるなんて、日本では考えられないことでしょうね。

子供がそれぞれかかえるコンプレックス

ドラマでは、三つ子が誕生してからの夫婦の子育て奮闘ぶりと、その三つ子が36歳になった現在の生活が、時間交差しながら描かれていきます。

一度に3人の子持ちになった夫婦の子育ては、本当に大変そう・・・!
初めての子育てに悩み、とまどい、葛藤しながらも、愛情深く3人を平等に育てようとする夫婦の姿には、胸を打たれるし頭が下がります。

そして、3人の子供たちはというと。
両親からの愛を受け取りながらも、それぞれにコンプレックスを育てていくんですね。

たとえば、三つ子の1人目(男)は、両親がいつも、女の子である妹と、黒人の養子である弟にばかり目をかけていて、自分はぜんぜん大事にされていない!と思いながら育つんですね。
その結果、36歳になっても、自分にいつも自信がなくて、誰かに背中を押してもらったり同意してもらわないと不安になるのですね。

三つ子の2人目(女)は、小さい頃から食べることが大好き!で、ちょっと太っていたわけです。
その容姿のせいで友だちから仲間はずれにされたり、意地悪されたりするのですが、どうにも食欲は止まらず。
両親はそんなぽっちゃりした彼女にも、たっぷり愛情を注いでいるのですが、特に彼女の母親はスリムで美人なんですね。
同じ遺伝子なのに私は・・・、という同性だからこそ感じる嫉妬とやるせなさを母親へ募らせていき、36歳の現在は、超〜肥満で、自分は誰からも愛されないと思っているわけです。

そして三つ子の3人目(養子・男)は、両親が痛いほど自分に気を使って愛を注いで育ててくれたことをちゃんと分かっているのですが、やはり「養子である自分」という疎外感を感じながら育つんですね。
おまけに肌の色もみんなと違い、あからさまなイジメなどはないものの、無意識のうちに差別意識のようなものを受け取っているのです。
だからこそ、自分はいつも「完璧でいなくちゃ」という強迫観念のようなプレッシャーで自分を律していくのですね。
36歳の現在は、トレーダーとして成功し、立派な家を持ち、美しく理解のある妻と2人の子供に恵まれて、「絵に描いたような幸せ」を体現しているのです。

私たちはみんな同じ

もうね、このドラマを見ていると、必ず誰かの気持ちに感情移入しちゃうんですね。
誰か1人に、というよりは、どの人物にも共感できるところがいっぱいあって、琴線に触れまくってくるわけです。

ここで、ドラマのタイトルが生きてくるのですが、「THIS IS US」というのは、私たちみんなの物語だよ、ってことを意味してるんだと思うのですね。

メインの5人の人生を描きながら、それは同時に私たちみんなの物語でもあるのです。
人間なら誰もが感じるような悩みや葛藤を5人が見せてくれていて、私たちは自分を誰かに重ね合わせて、「ああ、みんな同じなんだ」と思うのですね。

そしてこのドラマは、そんな葛藤を抱える私たちに、「全部が愛なんだよ」ということを教えてくれているような気がします。

というのも、登場人物たちの心の根底には愛が流れているのがヒシヒシと伝わってくるし、みんな一生懸命に生きているのが分かるし、なにが正しくてなにが間違っているなんてことは一概には言えないのだ、ということを見せつけられるからなんですね。

人の心はそんなに強くはないし、時には後悔するほどのこともしてしまうし、これでいいのだろうかと、探り探りやっていくしかないときもあるし、良かれと思って言ったりやったりしたことが、誰かのことを傷つけていたりすることもあるのですね。

でも、それらは全部、「そのときはそれがベストだった。そうするしかないと思った」からの結果なんですね。

私たち人間は面倒くさくて愛おしい

私たちは、どうしても自分目線でまわりを見てしまうし、自分の心がいっぱいいっぱいになってしまうと、誰かの気持ちを思いやる余裕がなくなってしまいがちですね。

特に、子供心としては、自分が望む形で分かりやすく愛されたいし、特別に扱ってほしいし、認めてもらいたいと願ってしまうのですね。

それが手に入らなかったからといって、「自分は愛されていない」というわけではないのに、それを誤解して、いろんなコンプレックスを育てていってしまうなんて。。

ホント、私たち人間って、面倒くさい愛おしい存在ですね!

特に、このドラマの中のお父さんとお母さんは、愛に満ちた素晴らしい人たちなんですね。
そんな人たちの子供でさえも、それだけのコンプレックスを持ってしまうんだから、人間はホント自分勝手なんだな、って(笑)

これはもう、子供たち1人1人が持って生まれたテーマなんだろうな、と思うのです。
そして、そのテーマを解決するための「チーム家族」なのかな、と。

 

子供の頃からいろんな葛藤を抱えてきた人には、心からオススメしたいドラマです:D

セラピー効果、めちゃめちゃ高いです❣

こんなドラマが作れちゃうアメリカってすごい(笑)